当塾は２０１８年８月に開校しました。当初は生徒にかかる費用は授業料＋入会金＋テキスト代＋教室維持費で月謝をいただく料金体系でした。ほとんどの個別指導塾と同じ料金体系だったわけです。

　そして最初の生徒が８月半ばに入塾してきました。初めての生徒の入塾だったので私も緊張しながら保護者と生徒に塾の説明を懸命に話しました。塾の授業の流れを一通り説明して、料金の話も終わり生徒も保護者も当塾に入塾すると決められとても喜んだ記憶があります。そして保護者の口から出たのが「こちらのテキストは時期的にもう半分くらいしか使わないでしょうから半額にしてもらえませんか？」という提案でした。

　私はすぐに返答せずにしばらく考えた後に、やはり最初の生徒が欲しかったので「テキストは半額にします」と答えたのです。その後はその生徒は中学を卒業するまで通塾していただき第一志望校に合格されました。

　当塾で使用しているテキストは塾専門の教材会社が作成したものになり、市販では手に入りません。大体一般的に塾業界では仕入れ値に１割または送料を上乗せしたくらいで生徒に販売しています。つまりテキストでは利益はほとんど出ず、上記の様に半額で販売した場合赤字なのですね。当時は他に入会金や教室維持費をいただいていたのでカバーできたのですが、今から考えると「１学期の復習にも使うので、全てのページを勉強に使います。値引きはできません」と言った方が良かったと思っています。

　しばらくして１２月に新たに生徒が１人体験授業に来ていただき、１月から入塾していただくことになりました。その時も塾の費用面で話していたときに「このテキストは３学期しか使わないからテキスト代を1/3にして欲しい」と言われ、その時も1/3の価格で販売してしまいました。大赤字です。

　その晩「どないしましょ～」と考えて色々な塾のホームページを見て、他の塾はどんな感じでテキストを販売してるいるのか検索しましたが中々思うようなサイトが見つかりませんでした。

　「なんとかしなあかんなー」と考えていましたが、この時もうひとつ悩みがありました。

　１２月頃には生徒も何名か集まりました。そして冬休みを迎えるに当たって各生徒に冬期講習の案内を出しました。

　冬期講習は中学３年は入試対策、中学１，２年は２学期の復習等普段の授業より時間を多く取り勉強してもらいます。そして普段の授業料とは別に「講習費用」をいただくわけですね。ほとんどの塾では季節講習(春期講習・夏期講習・冬期講習)があり、さらに定期テスト講習、入試対策講習、基礎力講習など様々なオプション講座を設けています。このオプション講座は塾では重要な収入面になるので全国の塾では季節講習は春・夏・冬休み前、その他のオプション講座は年中生徒や保護者に向けて営業活動をしています。

　保護者からするとチラシやホームページでは、月謝◯万円と安いと感じて入塾したものの後から季節講習や他の講習などで結果的に塾代がとても高くなることもあります。

　当塾も開校当初は季節講習をいただく計画でした。ところが冬期講習の案内を出したら「冬期講習は受けないので通常の授業を冬休みにお願いします」という返答がほとんどでした。開校時から「定額でいつでも来られて何時間でも勉強できる」と謳っていたので保護者様からすると別途講習費が発生するのはおかしいと思われてしまったのですね。私もその点は反省して通常の授業料で冬休みは終えたのですが、これでは利益があまり出ないなと悩んでいました。

　「定額制で月に何日、何時間でも通塾できる」と謳っている以上、追加費用はいただけないので入会金と教室維持費以外に必要な授業料と季節講習費、そしてテキスト代を含めた塾の運営に必要な料金を計算しました。それを１２ヶ月で割り１ヶ月当たりの授業料を設定しました。これが今の授業料になっているわけです。

　これを聞くと春・夏・冬休み以外の月も季節講習費をもらっているのではないかと思われますが、普段から毎日４時～１０時まで６時間勉強できる塾なので他の塾から見ると、とんでもなく勿体ないことをしている塾だと思われます。他塾ではたいてい１コマ５０～８０分くらいで授業料を計算しているので、当塾の様に定額で何日、何時間も勉強できるのは異端だと思います。しかし難しい単元は理解するのに時間がかかるので中途半端に終わらせず、理解してから帰って欲しいという観念から時間無制限の教室にしています。

　おそらく現在通塾している生徒の勉強時間を他塾の料金に合わせると５～１０万円は超えるでしょう。

　もっと個別進学塾レッツリトライを利用してもらいたいものです。