昨日の日記は２０２３年の４月に全国で行われた、小学６年生と中学３年生を対象にした全国学力・学習状況調査での１日の勉強時間に対してお話ししました。

・令和５年度　全国学力・学習状況調査の結果について

・滋賀県の公立中学校の生徒：１日の勉強時間と部活動の時間(PDF)該当ページ9-14

　こちらのアンケートでは滋賀県の公立中学校に通う生徒の、１日の勉強時間または部活動の時間が集計されています。本日は１日の勉強と部活動の関係を見ていきましょう。

　まずは中学３年生の４月時点での勉強時間を見ましょう。全国学力・学習状況調査では各都道府県の中学３年生の１日の勉強時間が細かく掲載されています。

　詳しくは昨日の日記に記載していますが、平日で３時間以上勉強するのは１割、１時間以上３時間未満が５割、１時間未満が３割という回答が得られています。

　単純に「勉強時間が長い＝学力が高い」と判断すると、３時間以上の１０．４％の生徒は滋賀県の１学年が約１万人いるので上位１０％つまり１０００人に入ります。この人数は膳所高校の定員３６０名、彦根東高校の定員３２０人、守山高校の一般・特色選抜の定員２００人、石山高校の普通科３２０人で超えてしまいます。つまりこの上位４校を目指す生徒が勉強する時間と捉えてもいいでしょう。

　また３０分以上２時間未満の生徒も約５割います。この時間では日々の学校の提出物やワークをするので終わる時間です。ですからさらに踏み込んだ復習や予習はしていないと思われます。

　ただこのアンケートの勉強時間には「塾・家庭教師の勉強時間」も含まれています。自宅での勉強時間だけではありません。塾や家庭教師は週に１～３回、１回の時間が１～３時間くらいです。平日に３時間以上勉強する生徒なら自宅でも予習・復習をしっかり行っているでしょうが、１～３時間程度の生徒は塾と家庭教師の勉強時間のみが１日の勉強時間に該当しているかもしれないのです。

　これでは自宅での「自発的な勉強」は少ないでしょう。塾長としては先生や塾・家庭教師から指示された問題や課題、宿題を行うのも立派な勉強ですが、もう一段階上の「自分から勉強」して学力を身につけて欲しいものです。

　やはり自発的に行うのは勉強でもスポーツでも仕事、趣味に関わらず吸収率は桁違いです。「塾や家庭教師から教わっているから大丈夫」ではなく自宅での勉強時間も確保してください。

　全国学力・学習状況調査では学校での部活動の１週間における参加日数や時間も調査されています。

　まずは部活動に参加している割合です。調査は中学３年の４月なのでまだまだ高校入試への意識は低く、夏の夏期総体、県大会、全国大会も控えて積極的に参加している時期ですね。

　そのためか運動系の部活動は６０％超え、文化系の部活動にも２０％近くの生徒が参加しています。部活動には８０％超えの生徒が参加しています。参加していないのは１５％くらいですね。

　こちらは月～金曜日の平日における部活動の参加日数の調査です。

　５日が２４．６％、４日が３９．７％と４日以上が６４．３％を占めています。３日、２日は計１２．９％で、逆に参加していない生徒は１７．９％と２割近くいます。

　先程の「参加している割合」と「平日の部活動の時間」を見ると、８０％の生徒がいずれかの部活動に参加してそのうち４日以上参加している生徒は６４．３％と多くの生徒が放課後、部活動に多く参加しているのがわかりますね。

　次に月～金曜日の部活動の１日当たりの活動時間です。

　平日における部活動の時間ですが、中学校では明るい時季(４～１０月)は午後６時まで、暗くなるのが早い時期(１１～３月)は午後５時までが部活動の時間になります。授業の終了が３時の場合着替えや準備を考慮すると、３時３０分頃から始まります。すると２～３時間３０分が部活動の時間になりますね。

　３時間以上参加する生徒は少ないですが、２時間以上３時間未満と１時間以上２時間未満の生徒が計７１．１％もいます。これに３時間以上の生徒を加えると７７．２％とほぼ８割。

　今までの表を計算するとまず「部活動に参加している生徒」が８２．６％、その中で「４日以上参加している生徒」が６４．３％です。１００人の生徒で計算すると、約７８人が「平日の部活動に４日以上参加して、１～３時間以上活動している」計算になります。多くの生徒が放課後の時間を部活動に使っているのがわかりますね。

　学校の授業が終わりすぐに部活動を始め、帰宅するのは５～６時くらいですね。夕食やお風呂の時間が１時間だとすると７時頃からが自由時間になります。就寝が１１時と考えると４時間の時間があります。

　この時間をどう使うかですね。

　「月～金曜日の１日の勉強時間」の表では、３時間以上が１０．４％、２時間以上３時間未満が２２．２％、１時間以上２時間未満が２９．９％、３０分以上１時間未満が１９．０％になっています。

　３時間以上の生徒が１割以上いて、１時間から３時間する生徒も５割いるので平日も勉強を頑張っているのでは？と思いますが、この「勉強時間」には「塾や家庭教師の時間」も含まれています。

　下に全国学力・学習状況調査での塾や家庭教師の利用率をグラフで表してみました。

　中学３年生は４月の時点で６１．６％の生徒が塾または家庭教師を利用しています。

　先程も書きましたが、利用日数や時間は生徒によって様々です。全国の平均では週に１～３回、１回あたり１～３時間利用するのが多いです。

　ですから「自宅での独学」ではなく「塾の先生や家庭教師から教わっている」時間がほぼ占めているのではないでしょうか？そして学校の宿題・ワーク・提出物さらに塾や家庭教師からの宿題も合わせると、「自宅での勉強」は宿題をするだけで精一杯になります。

　学校の宿題や塾・家庭教師の宿題も大切です。中学校の単元は行う時期やスピードは決まっており、塾もそれに合わせた予習の授業等を行うので、問題なく進められ学力も上がるはずです。

　にも関わらず成績が上がらない生徒に厳しく言うと「しなければいけない勉強」をしていないからです。

　本来なら中学３年生の「自宅での学習」は「現在学校で勉強している範囲の復習」と「中学１，２年の復習」をするはずです。ですが平日の勉強時間が１～３時間では塾・家庭教師の時間と宿題に費やす時間で終わってしまいます。つまりそれ以上に勉強の時間を作って「現在学校で勉強している範囲の復習」と「中学１，２年の復習」をしてほしいのです。

　平日でも４時間前後の自由時間があるので、その時間をすべて勉強に使いましょう。

　こちらの表は土、日、祝日の学校が休みの日における部活動の損か時間です。

　朝から練習できるので平日より練習時間は長めの生徒が多いですね。

　平日では３時間以上参加している生徒は６．１％なのに土、日、祝日では３４．６％に増えています。４時間以上も参加している生徒も１０％以上いますね。２時間以上と３時間以上の生徒を合わせると５６．８％と６割近くいますね。

　土、日、祝日は朝早くから学校や競技場に向かう生徒をよく見ます。恐らく午前中は正午まで練習があるのでしょう。ですから上記の様に２～４時間以上の練習は普通でしょう。午後からはあまり練習をしている光景は見ませんのでお休みだと思います。

　ですから午後～夜間は自由に時間が使えます。単純に正午から夜１１時までだと１１時間の時間があります。

　休日ですから遊びに出かけたり、スマートフォンを長時間視聴する生徒も多いでしょう。それでも５時間を娯楽に使っても６時間はあります。ところがアンケートの結果はどうでしょう？

　１番多い時間帯が１時間以上２時間未満で２４．９％、１時間未満も２５．３％、２時間以内しか勉強しない生徒が半数を占めています。さらに全く勉強しない生徒も１４．２％もいます。

　逆に２時間以上勉強する生徒は合計３４．９％でかなり少ないです。ここでもう一度平日の勉強時間の表を見ましょう。

　３時間未満の各時間帯の割合を見ると、平日の方が勉強時間が長いですね。時間がたっぷりあるのに勉強しない。

　くり返し述べていますが、この調査の学校の勉強時間には塾・家庭教師の勉強時間も含まれています。そして大抵の塾・家庭教師は土、日、祝日は休みです。

　ということは平日の勉強時間は塾や家庭教師の時間にほとんどがあてられていることになり、「本当の自分からしている勉強時間」は土、日、祝日の勉強時間になってしまいます。休日でさえ勉強時間が２時間未満、また全くしない生徒を合わせると６４．４％もいます。

　これでは部活動がある平日でもし塾・家庭教師を利用していない場合ほとんど勉強しないのではないでしょうか？

　およそ６割の中学３年生が塾・家庭教師を利用していても勉強はその時間のみで、肝心の「学力を身に付ける自発的な復習」はしていないと思われます。

本日は以上です。

個別進学塾レッツリトライ　滋賀県彦根市西沼波町98

指導対象小学校：旭森小学校、佐和山小学校、城東小学校

指導対象中学校：彦根市立東中学校、彦根市立彦根中学校、彦根市立南中学校等、彦根市内の中学校

指導対象高等学校：翔西館高校、彦根東高校、米原高校、河瀬高校等、滋賀県内の県立高校、私立高校